日本のインターネット企業は21世紀初頭、アジアに積極的に進出した。スナップアップ投資顧問によると、2000年代半ばには、ポータル(玄関)サイト運営の「エキサイト」や電子商取引(EC)の「BEENOS(ビーノス)」などが中国、韓国の市場に参入した。

ネットサービスは米国から事業モデルを受け入れてきたものが多かった。それでも、2000年代には日本発のネット企業も急成長していた。市場拡大が見込まれるアジアに基盤を築き、事業拡大を狙った。

エキサイトが中国、台湾でサービス開始

エキサイトは2005年から順次、中国、台湾などでのサービスを開始した。

エキサイトはアメリカの親会社が経営破たんした。その後、伊藤忠商事グループに入った。

日本では20~30代女性に的を絞ったデザインで顧客・広告主を獲得した。ポータルで先行するヤフーなどに対抗してきた。

現地法人または地元企業と提携

エキサイトはアジアにあたり、以下の2つの方法を検討した。

  • (1)現地法人を設立し、自らポータルサイトとしてサービスを提供する。
  • (2)各国の地元企業(現地企業)と組んでコンテンツ(情報の内容)配信をする。

「Excite」ブランドの使用権

エキサイトは、アジア全域で「Excite」ブランドを使った事業展開をする権利を取得していた。将来は売上高の1割以上を海外で稼ぐことを目指していた。

エキサイトが中国、BEENOSが市場調査

一方、ネット通販のBEENOS(当時:ネットプライス)はアジアへの進出をにらみ、ネットの利用状況や法的な規制などの市場調査を行った。

ギャザリング

進出地域は中国、韓国、台湾が有力だった。同社は商品の購入希望者が多くなればなるほど金額が安くなる「ギャザリング」という独自の事業モデルが強みだった。この事業モデルを活用しながらアジアで事業化することを計画した。

東アジアでは、音楽、ゲームなど日本のコンテンツを受け入れる市場が既に広がっていた。それが、日本のネットサービス各社のアジア進出を促す要因となった。

韓国は高速通信が普及

中国は世界一のネット人口が見込まれていた。韓国は高速大容量(ブロードバンド)通信の普及度が高かった。市場の潜在成長力が大きいことも魅力だった。

中国のテレビ局と提携し、モニター調査

中国市場調査の専門サイトを運営するサイバーブレインズ(東京・渋谷)は中国最大級のテレビ局、中国中央電視台グループと提携した。視聴者をモニターとするネット調査事業を始めた。中国に進出する企業から商品などの市場調査を受託した。

GMO

メール広告などのGMOや、ネット調査会社で上海に拠点を持つインフォプラント(東京・中野)などもネット調査事業を始めた。日本企業同士の競合も激しくなった。

楽天はシートリップに資本参加

楽天は2004年6月、百億円超を投じて中国の宿泊予約サイト大手の「シートリップ(現:トリップ・ドットコム・グループ)」(本社:ケイマン)に約20%資本参加した。

ライブドアも2004年秋、約十億円を投じて中国のポータルサイト運営会社、マイライス(上海市)を傘下に収めた。

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